20歳からのニキビケアで見直したい2つの習慣。皮脂のホントのお話

肌トラブルのうち、多くの人が悩んでいるのが、ニキビです。

ニキビは過剰に分泌された皮脂が毛穴を詰まらせ、毛穴の中で雑菌が繁殖・炎症を起こし、化膿した状態です。

皮脂さえなければニキビのない、綺麗なツヤ肌になれるのに!と思ったことがある方も多いのではないのでしょうか?

実は、それは半分正解で、半分間違い。

思春期ニキビとは違い、大人になってからのニキビケアには皮脂と上手に付き合っていくことが肝心です。

皮脂はニキビの要因になることもありますが、お肌の健康を守るために重要な役割を果たす場合もあるからです。

この記事では皮脂の役割や、過剰に分泌されてしまう皮脂を適切な量へ減らす方法をお伝えします。

皮脂の役割は?皮脂がなくなるとどうなるの?

皮脂の主な成分は中性脂肪やスクワレン、コレステロールなどです。

皮脂は皮脂腺という組織から分泌され、毛穴を通って肌の表面に排出されます。

肌に排出された皮脂は、汗やセラミドなどの細胞間脂質と混ざり合い、ごく薄い皮脂膜と呼ばれる膜を形成します。

この皮脂膜はホコリや花粉などの汚れや紫外線といった外的刺激からお肌を守るバリアのような役割を果たしたり、
肌内部の水分を表皮から蒸発しにくくします。

皮膚のバリア機能 – スキンケアの基礎

皮脂の主な成分である中性脂肪(トリグリセリド)は、皮膚の常在菌によって分解されることで脂肪酸になり、肌を弱酸性の状態に保ちます。

弱酸性に保たれた肌では不要な雑菌の過剰繁殖が防がれるほか、角質層を安定させ、外界の刺激に負けない肌作りに一役買っているのです。

皮脂が不足すると起こる、4つのガッカリ肌!

では、皮脂を肌から取りすぎてしまったり分泌がうまく行われずに不足してしまったりすると、お肌にはどのようなことが起こるのでしょうか?

1)お肌の弱酸性が保てず、肌に雑菌が繁殖してしまう。

肌が弱酸性から弱アルカリ性に傾いてしまうと必要以上に菌が繁殖してしまい、肌の炎症などのトラブルを起こしてしまいます

ニキビも肌の炎症の1つ。

ニキビは顔の常在菌であるアクネ菌(ニキビ菌とも呼ばれる)が毛穴の中で過剰に繁殖して炎症を起こした状態です。

皮脂がなくなって肌がアルカリ性に傾いたためにニキビができてしまっては、本末転倒ですね。

またアルカリ性に傾いた肌は日焼けしやすくなってしまうので、ニキビの他にシミや乾燥の原因にもなります。

お肌にはアルカリ中和能といって、アルカリ性に傾いてしまった表皮を弱酸性に戻す働きがありますが、アルカリ中和能は皮脂がないとうまく働いてくれません。

2)顔の水分が蒸発して、カサカサの水気のない顔に。

皮脂がなくなると顔の水分の蒸発を防いでくれる皮脂膜が弱くなります。

そうすると肌本来が持っている水分や化粧水などで足した水分までなくなってしまい、水気やハリのないカサカサな顔に。

水気のない乾燥した肌は柔軟性が失われるかわりにシワが増え、粉がふき、メイクも綺麗にノリません。

つまり、皮脂がしっかりある顔と比べて一気に老けて見えてしまうのです。

肌細胞に水分が不足すると新しい肌細胞やコラーゲンを生み出せなくなるので、疲弊した肌の回復も見込めません。

また、水分がなくなった肌はかたくなり、柔軟性が失われることで毛穴が塞がりやすくなります。

塞がって、空気が触れなくなった毛穴の中は空気との接触を嫌うアクネ菌が最も活発に活動する環境です。

皮脂がなくなってしまう事は、アクネ菌にニキビを作るのに最適な環境を提供していることにもなるのです。

3)カサカサなせいで角質がはがれ落ち、外界からの刺激に敏感に。

カサカサに乾燥した肌からは角質がはがれ落ちやすく、未熟で弱い状態の肌が外界にさらされます。

この未熟な肌は外界の雑菌やカビ、温度変化やホコリなどの汚れに大変弱く、少しの刺激で赤くなったり炎症を起こしたりしてしまいます

4)肌の乾燥を防ぐために、皮脂腺が必要以上の皮脂を分泌するようになってしまう。

スキンケアをする際に本来は必要な皮脂まで取り除いてしまうと、顔の乾燥に対抗するために、皮脂腺が過剰に活発化してしまいスキンケアをする以前よりも大量の皮脂を分泌させてしまうことがあります

一度乾燥してしまった皮膚は柔軟性が落ち毛穴が詰まりやすい状態になっているので、過剰に分泌された皮脂は毛穴に溜まってしまいます。

出口のない毛穴に溜まった皮脂がアクネ菌を活発化させ、赤ニキビや黄ニキビなど、痛みが伴う・痕が残りやすいニキビができてしまいます。

ニキビが治る過程で必要なターンオーバーも乾燥した肌では周期が遅れがちなので、ニキビの治りが遅くなることも覚悟しなければなりません。

どれもこれも、お肌に起こってほしくない現象ですよね。

思春期とは違う、20代からの皮脂の分泌

皮脂の分泌量は新生児のときは多く、小児期では少なく、思春期から一気に増加します。

一般的に皮脂の分泌量のピークは思春期から、女性なら10〜20歳代まで、男性なら30〜40歳代までと言われています。

特に女性の皮脂の分泌量はホルモンの働きに関連しており、更年期や閉経期になると急激に減少する一方、男性の皮脂の分泌量の減少は緩やかで、80歳くらいまで分泌されると言われています。

季節によっても変わったり個人差があったりしますが、男女ともに思春期をピークに皮脂の分泌量は少なくなっていくのが基本です

思春期の頃は朝に洗顔料で洗顔をきちんとしても、日中何度もあぶらとり紙で皮脂を拭っていた方も多いのではないでしょうか?

また、ニキビ用の脱脂力の強い基礎化粧品を愛用していたなんて方もいらっしゃると思います。

前述した通り、皮脂の分泌量のピークは思春期でそれ以降、女性なら20歳を目安に皮脂量はどんどん低下していくのです。

学生の頃に行ってきた「脱脂ケア」を続けると必要な皮脂が不足してしまい、肌の乾燥から肌トラブルが起こる・結果として余分な皮脂が増えるなどの悪循環が起こります

余分な皮脂が増えるとお察しの通り、ニキビがなかなか顔から消えない、でも乾燥しているやっかいな肌質になってしまうのです。

皮脂の分泌を適切にするために見直したい2つのこと

それでは、肌が乾燥しない程度にうるおいを保ちつつ、かつニキビができないくらいの皮脂量をキープするためにはどうすればいいのでしょうか?

一言で言うと、健康な肌を作るということです。

1)生活習慣を見直してみる。

生活習慣の中でも、食生活や睡眠は健康な肌作りに大きく関係しています。

A)食生活について

余分な皮脂の分泌を避けるためには積極的に摂取してほしい栄養素と、なるべく避けてほしい栄養素があります。

積極的に摂取したい栄養素

皮脂の分泌をコントロールためにはビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンCなどのビタミン類を積極的に摂取しましょう

■ビタミンB2……皮膚や粘膜を健康にする働き。
⇒白身魚・しそ・舞茸に多く含まれる
■ビタミンB6……ビタミンB2と合わせて摂ることで皮脂の分泌の正常化を促す。
⇒赤身魚・肉・ニンニクなどに多く含まれる
■ビタミンC……皮脂の抗酸化や保水力を上げる成分を生み出す。
⇒パプリカやブロッコリーに多く含まれる

毎日3食、栄養に配慮して食事しましょう!というのは難しいので、魚や野菜が多めのおかずを1日に1回食事に組み込んでみる、などできることから始めていきましょう。

摂取を控えたい栄養素

ビタミン類とは逆に、摂取を控えたい食品は、炭水化物・脂質(油)・糖分です。

皮脂の主な成分は中性脂肪ですが、菓子や食事から摂取して消費されなかった脂質・糖分は中性脂肪になり、その一部が皮脂として排出されます。

炭水化物・脂質・糖分を摂り過ぎると皮脂の分泌量は増える上に過酸化脂質を大量に生み出し肌を老化させることも、近年の研究で明らかになっています。

もちろん、炭水化物・脂質・糖分は全て、生きていくのに必要なエネルギー源です。

食事から適度に摂るよう心がけ、お菓子などはストレスにならない程度に控えるのが賢明です。

B)睡眠について

睡眠が十分に取れると、まずはホルモンバランスが整います

また、お肌のターンオーバーが睡眠中に活発に行われ柔軟性と水分をたっぷり含んだ肌細胞が生まれることで、皮脂の分泌や排出が正常に行われるようになります

睡眠は適度(7時間〜可能なら8時間程度)な長さも必要ですが、どうしてもそんなに時間が取れないという方は睡眠の質に着目しましょう。

睡眠の質を高めるためには、就寝の前に

  • スマートフォンやPCなどの使用を控える
  • 軽いストレッチを行う
  • 入浴後に髪の毛を乾かし、清潔な状態を作る
  • 食事は2時間前に済ませる/ギリギリに食べるならば、軽いもので済ませる

など、少し気をつければ簡単にできそうですね。

 

2)日頃のスキンケアを見直してみる。

毎日のことなので惰性で行ってしまうこともあるスキンケアですが、その中に皮脂の過剰分泌やニキビの原因が隠れていることも。

クレンジング・洗顔・保湿を、ステップごとにおさらいしてみましょう。

A)クレンジング

メイク用化粧品の多くには、油分が配合されています。

朝にほどこした化粧は、夜になる頃には必ず綺麗にメイクオフしなければいけない汚れになってしまっています。

なぜなら、化粧品に含まれている油分は日中に酸化するため肌の乾燥を招いて余分な皮脂の分泌を招いたり、色素沈着の原因になったりしてしまうからです。

疲れて帰った来た夜には一手間ですが、必ずメイクオフするようにしましょう。

クレンジングは、ポイントメイクとお肌全体とで使い分けをするのが基本です。

クレンジングオイルはポイントメイクも含め一気に落とせて便利ですが、一方で洗浄力が強すぎる傾向にあります。

肌への負担を減らすためにも、クレンジングオイルはしっかりメイクの日だけ使って、普段はジェルやミルクタイプのクレンジング剤を使うなど、使い分けができるとなおいいですね。

クレンジングでうるおい肌に。自分に合ったクレンジング選び、2つのポイント

B)洗顔

洗顔料は、クレンジングでは洗い流せないお肌の汚れを落とします。

皮脂膜はお肌のバリアです。
お肌を覆い、外界からの刺激から守ってくれたり、お肌の常在菌のコントロールをしてくれます。

同時に、皮脂膜は油分の膜なので外界の汚れがつきやすかったり、酸化して過酸化脂質になってしまうので、適切に洗顔をすることが大切です。

洗顔の基本は熱すぎないぬるま湯でたっぷりの泡を使ってお肌に直接触れないよう丁寧に洗い、泡洗顔している時よりもすすぎに時間をかけることです。

また、起床時は夜中に排出された皮脂や古い角質を洗い流すことが必要です。

朝の洗顔は、夜の洗顔時よりも水分をたっぷり含ませて洗顔料を泡立てましょう。

クレンジング・洗顔に関して詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

正しい洗顔方法が肌トラブルを解決。美肌に導く3つのポイント。

C)保湿

20歳からの皮脂の過剰分泌で多い原因は、お肌の保湿不足だと言われています。

インナードライ肌とも言われ、肌の内側が乾燥していると、皮脂の分泌が過剰になります。

皮脂が過剰に分泌されてしまうので脂性肌だと勘違いしてしまうために保湿を控えてしまうという悪循環に陥ることも。

肌細胞が健康でたっぷりと水分を保持している状態が作られれば、皮脂の過剰分泌は抑えられます

洗顔後はすぐに、たっぷりの水分を化粧水や美容液で補ってあげるようにしましょう。

保湿にはヒアルロン酸やセラミド、コラーゲンなど、保水力の高い成分が配合されている化粧水や美容液がオススメです。

一方、クリームや乳液の使い方には注意が必要です。

クリームや乳液には油分が含まれているので、その使用量が肌に合っていないと毛穴の詰まりを引き起こしてしまうことも。

オイルフリーの基礎化粧でしっかりと保湿ができるのが理想ですが、どうしてもそれだけでは乾燥してしまうという時に量を調節したり、部分的につけたりといった工夫が必要です。

インナードライ肌に関してもっと知りたい方はこちら。

脂っぽい肌に潜むインナードライ肌

インナードライ肌かどうかの見分け方や、改善方法をチェックしましょう。

まとめ

よく、「肌のバリア機能」という言葉を耳にするようになりましたが、肌のバリア機能は角質層とそれを覆う皮脂膜があってこそ機能します。

皮脂はニキビの原因にもなりますが、皮脂が分泌される一番の目的はお肌を健康な状態に保つことです。

ニキビ肌に大切なのは皮脂を毛嫌いして取り除こうと努力するのではなく、皮脂の量をコントロールして健康な肌の状態をつくっていくことです。

生活習慣やスキンケアなど、毎日のことだからこそ少しづつ見直せていけるといいですね。