『皮脂の悩み』は年齢や季節、体質などによってそれぞれあり、顔の表面に出る皮脂の分泌量は個人差があります。
顔のテカリが気になったり、ニキビが出来やすい、毛穴が目立つなど、皮脂の分泌量が多い人。乾燥肌で粉をふいたり、小じわが目立ったり、痒みを伴う湿疹が出やすいなど、皮脂の分泌量が少ない人。
皮脂の分泌量が多い人・少ない人とでスキンケアの方法は異なります。それ以外にも、年齢や季節などに合わせたスキンケアを行うことで、誰にでも皮脂の分泌量を上手にコントロールすることができます。
皮脂を解決したいのであれば、まずは皮脂が出る意味や今の状態を整理して、自分に合ったスキンケアを見直してみてください。
皮脂はなくてはならないもの
まず皮脂とは、人の肌にとって重要な役割を果たす、なくてはならないものです。
皮脂には、以下の2つの重要な役割があります。
- 肌内部にある水分の蒸発を防ぎ、潤いを保つ。
- 外敵(ホコリや細菌など)が皮膚へ侵入するのを防ぐ。
皮膚の表面にある皮脂は、上記の役割を果たすためにバリアとして機能し、健康的で正常な肌「美肌」を保つために欠かせない存在です。
詳しくは以下のページをご参照ください。
皮脂が原因の主な悩み
皮脂に関する悩みや原因は、季節や年齢ごとに異なります。
以下に、皮脂に関する代表的な悩みの例を挙げます。
皮脂の量が多い(オイリー肌)場合
- Tゾーンのテカリが気になる
- 皮脂分泌量が増えてニキビができる
- 毛穴の開きが気になる
- 化粧が崩れやすい
- ファンデーションやチークなどを乗せるとムラができる
皮脂の量が少ない(乾燥肌)場合
- 小じわが目立つ
- 吹き出物ができる
- 顔がたるんだり、むくんだりする
- メイクをすると粉をふく
また、皮脂の分泌量は年齢別だと、赤ちゃんや小さな子供の時期は皮膚が薄く皮脂も少ないため、乾燥しやすい肌をしています。皮脂によるバリア機能が不十分なため、湿疹やかゆみの原因にもなります。
皮脂の分泌量は思春期がピークで、その後は年齢を重ねるごとに減っていきます。
思春期のニキビはホルモンバランスの影響で皮脂の分泌量が過剰になり、ニキビの原因となります。
思春期が過ぎた後の大人ニキビは、ストレスや肌の乾燥などの原因が重なり、ターンオーバーが乱れて古い角質や皮脂がたまったところにできます。
更に年齢を重ねると皮脂の分泌量は激減し、肌の乾燥化が進んで小じわやたるみなどの原因となります。
皮脂の分泌量をコントロールするには
皮脂の分泌量をうまくコントロールするために、まずは普段、次のようなスキンケアを行っていないか、チェックしてみましょう。
- 1日に何度も洗顔を行う
- クリームを何重にも重ねて塗り込む
- 油取り紙を使用している
- 弱酸性の洗顔料で顔を洗う
- 熱い湯で洗顔を行う
バリア機能としての皮脂は、肌本来の自然の力で必要な量だけ分泌される状態でなければいけません。それが、健康的で正常な肌の状態となります。
適切な分泌量の皮脂で肌を保護し、乾燥化やニキビ、吹き出物などの肌トラブルを防ぐ役割を果たします。
しかし、上記のようなスキンケアを行うと、皮脂の分泌量のコントロールに異常が出てしまう恐れがあります。
過剰な皮脂対策は逆効果を招く場合も
スキンケアで重要な「洗顔」の目的は、溜まった皮脂やホコリ、古い角質や毛穴に詰まった汚れ、メイクなどを落として清潔にすることです。
しかし、皮脂や顔のテカリが気になるからと1日に何回も洗顔を行うと、返って肌トラブルへ繋がることがあります。
洗顔をすることでテカリもなくなりスッキリとして肌が清潔になりますが、その分、バリア機能として必要な量の皮脂まで洗い落としてしまいます。洗顔をすればするほど必要な皮脂が肌の表面からなくなると、バリアが機能しなくなります。
油取り紙などで皮脂を過剰に取り過ぎる場合も同様です。
オイリー肌の場合
オイリー肌の場合、肌の表面の皮脂を補おうとする働きが起こります。これは、洗顔や油取り紙の使用を行えば行うほど、皮脂分泌を促すことへと繋がります。
一時的に皮脂がなくなりスッキリとしますが、しばらくすると必要以上にどんどん皮脂が分泌されます。
皮脂が出てテカリが気になれば洗顔をしたり油取り紙を使い、表面の皮脂がなくなれば肌はもっと分泌を増やさなくてはという機能が働き・・・
イタチごっこのように皮脂の分泌は増えていきます。
皮脂の分泌量を正常に戻すために、皮脂の分泌が多い思春期や男性の場合は、1日の洗顔は朝晩の2回に止めておきましょう。女性は汗をかく季節は朝晩の2回、それ以外では、朝はぬるま湯のみの洗顔に止めておきましょう。
油取り紙の使用は、思春期や男性はなるべく控えめにすること、女性は夏場だけにしてなるべく使用しないよう心掛けましょう。テカリが気になる場合は、化粧水を顔全体にふきかけ、軽くティッシュオフすることをおすすめします。ニキビや吹き出物がある敏感な状態の場合、この方法がだと肌にあまり負担をかけずに済みます。化粧直しの場合も、この方法だと保湿もされて仕上がりもよくなります。
乾燥肌の場合
洗顔をすればするほど乾燥を招くので、洗顔は1日に1度、朝はぬるま湯の洗顔のみにしましょう。油取り紙の使用は控えましょう。
また、洗顔後が一番乾燥するので、すぐに化粧水で肌を整えてください。
夏場など、汗をかいて肌の表面のベタつきが気になった場合、柔らかいタオルで汗を拭き取り、化粧水を顔全体にふきかけて、軽くティッシュオフしてください。
保湿のしすぎにも要注意
近年、様々な保湿化粧品が出ていますが、あれもこれも同時に使用すると返って肌トラブルを招く恐れがあります。
化粧水や保湿クリームを適量以上に塗り込むと、皮脂の分泌量に影響が出てしまう場合があります。
肌の保水量には限度があります。必要以上に保湿することは皮脂を分泌する働きに影響が出て、分泌バランスが崩れさらに乾燥化が進む恐れがあります。
保湿パックの場合、使用方法にある時間を超えての使用に注意が必要です。使用時間以上に着けていると、肌の水分が逆にパックへ移り、乾燥化を招いてしまいます。
コットンパックも同様に、コットン自体の乾燥に気付かず使用し続けてしまう恐れがあります。
保湿パックは使用に注意して、使用時間がある場合は厳守するようにしましょう。
また、ニキビ対策には保湿が必須と言われますが、油分の多いクリームで保湿することは避けましょう。
皮脂の分泌量が原因であるため、その上に油分を足すと、さらにベタベタとしてニキビが悪化する恐れがあります。
ニキビの場合、保湿性の高い化粧水やジェルなど水溶性の化粧品でスキンケアするようにしましょう。
皮脂の悩みは洗顔方法でほぼ改善される
皮脂の分泌量に影響が出る原因は洗顔のやり過ぎの他に、洗顔そのもののやり方による場合もあります。
皮脂改善への第一歩は、洗顔方法の見直しから。
今のご自分の洗顔方法と、以下の正しい洗顔のポイントを見比べてみましょう。
- 洗顔前に手の汚れを落とし、キレイに洗う
- クレンジング剤でメイクや皮脂汚れを落とす
- ぬるま湯(人肌の体温ぐらい)ですすぐ
- 手で直接肌をこすらないよう、たっぷりの泡で洗う
- 泡洗顔は1分程度を目安にする
上記のポイントは、全て洗顔において大切なことです。
余分な皮脂汚れはクレンジング剤で
メイクをしていなくてもオイリー肌の人や皮脂の多い男性でも、2のクレンジング剤使用は重要なポイントです。
余分な皮脂や毛穴に詰まった皮脂汚れは、洗顔だけでは十分に洗い落とせない場合があります。
テカリ、皮脂が気になるからと泡洗顔を何度も行うよりも、クレンジング剤で落としてから泡洗顔を行う方が、肌に負担をかけず皮脂の分泌量も抑えられます。
また、クレンジング剤にシート状やオイル系を使用するのは避けてください。
シートで肌に摩擦をかけると、必要な皮脂まで落としてしまいます。
ジェルやクリームタイプを選ぶようにしましょう。
皮脂を全て落としてしまう洗顔はNG
皮脂汚れ・顔のベタベタ・テカリ・ニキビなどが気になると、顔表面の皮脂を残すことなく全て洗い落としてスッキリとしたい!と思いがちな人が多いのですが、これは皮脂の分泌をさらに招くことに繋がる、誤った考えです。
では、必要な皮脂はどのくらい残しておけばいいのでしょうか。その量を見た目などで判断することは難しいですし、個人差もあります。
必要な皮脂までも洗い流さないようにするために、以下の点に注意するようにしましょう。
- 熱い湯ですすがない
- 肌にゴシゴシと摩擦をかけず、泡で丁寧に洗顔する
- 手のひらや指の腹が肌に直接触れないよう、たっぷりの泡だけで洗う
- 泡洗顔を2分以上行わない
上記の注意点は、必要な皮脂を洗い流してしまう故に、乾燥肌を招く原因にもなります。
皮脂分泌が少なく乾燥肌にお悩みの人はもちろんのこと、皮脂分泌が多く、ベタつきやニキビなどにお悩みの人も、まずは洗顔方法の見直しから始めてみましょう。
基本的な洗顔方法について、詳しくは以下のページをご参照ください。
自分に合うスキンケアが皮脂分泌を調整する決め手
皮脂の分泌が多くてお困りの人も、少なくて乾燥にお困りの人も、まずは正しい洗顔方法を心がけることが重要です。
肌の乾燥や外部からの刺激を防ぐ「皮脂」は、オイリー肌も乾燥肌もどんな肌のタイプの人にも大切な機能です。皮脂の分泌量をちょうどよくコントロールすることが、健康的でトラブルの少ない肌へと導きます。
皮脂が多くて気になる人は・・・
- 肌から皮脂を取り除き過ぎないこと
- 泡洗顔は朝晩の1日2回まで
- 泡洗顔で物足りなければ、クレンジング剤で皮脂を落とす
- 油分の多い化粧品は避けること(オイルクレンジング、クリームなど)
- ベタベタ気になる人は、塗布するものは水溶性の化粧品のみにすること
- 油取り紙は多用しない
皮脂が少なくて乾燥が気になる人は・・・
- 洗顔後はすぐ保湿すること
- 泡洗顔は1日1回にすること
- 湯船に浸かり過ぎも乾燥のもと
- 保湿クリームやパックはつけ過ぎに注意し、使用量・使用時間を守ること
- 油取り紙は使用しない
- 乾燥肌の子供にはベビー用クリームを塗る
皮脂の分泌量のコントロールにはスキンケアの他にも、規則正しい生活をすることが改善に繋がります。
- 偏った食事をしない
- 睡眠を十分にとり、夜更かしをしない
- 毎日適度な運動で汗をかくこと
- 喫煙、飲酒を控えること
正しい洗顔方法、自分に合ったスキンケア、ライフスタイルの改善で、皮脂の分泌量を正常に戻すことができます。健康的でトラブルのない美肌をつくるために、皮脂を必要以上に取り除き過ぎないよう、上手にコントロールするよう心がけましょう。