乾燥肌を招く大きな原因は「洗いすぎ」であると言われています。
乾燥を招く「洗いすぎ」には
- 熱い湯を使う
- 洗剤(ボディソープやハンドソープなど)を使う
- ゴシゴシ洗う
- 何度も洗う
といったことが挙げられます。
時に乾燥しやすい部位で、男女問わず悩んでいる人が多いのが「手」です。
手は日常生活の中でも特に洗う頻度が多いため乾燥しやすく、
さらに乾燥した手を酷使すると、角質層が剥がれています。
そうするとちょっとした刺激や雑菌などに負けてしまい、赤みが強く出たりかゆくなったり、
場合によっては炎症や裂傷(ひび割れ)を起こすなど重篤になることが多くあります。
手が乾燥するメカニズム
洗剤で洗う頻度を別にしても、手は体の部位の中でも乾燥しやすい部分です。
人間の皮膚には、肌を外部の刺激から守り、うるおいが出て行ってしまわないように守る
肌のバリア機能があります。
肌のバリア機能は、肌に水分が十分に蓄えられ、それが皮脂でできたうるおいのベールに
包まれている時に働きます。
この皮脂でできたうるおいのベールは皮脂膜と呼ばれ、皮脂と汗などが混ざり合った、
天然の保湿クリームとも言われています。
ところが手の場合は、この皮脂膜に必要な皮脂を分泌する皮脂線が手のひらにはなく、
手の甲に少しあるばかりなのです。
また、肌に水分を保持してくれる役割の角質間細胞脂質、いわゆるセラミドや
水分の蒸発を防ぐグリセリンを生成するブドウ球菌などの常在菌が健康な肌には存在しますが、
手の洗浄を繰り返すことでそれらは容易く洗い流されていってしまいます。
さらに、多くの洗剤に使用される合成界面活性剤は肌のバリア機能を破壊します。
そうすると肌のバリア機能は働かなくなるため乾燥は進み、肌の修復は追いつかず、
外界からの刺激や細菌に弱くなることであかぎれや裂傷、
かゆみや湿疹などの重篤な症状へと繋がってしまいます。
手を乾燥させないためのルール
手はもともと乾燥しやすい部位ですが、少しの気遣いで乾燥を抑えることが可能です。
乾燥を防ぐ3つのルールを守りましょう。
1)保湿剤の正しい常用
手の乾燥の原因は手を頻繁に洗うことではありますが、
じゃあ「乾燥したくないから手を洗わない」ということは中々できませんよね。
そこで大切なのが、こまめにハンドクリームを塗り直すことです。
洗剤で洗うたびに一緒に洗い流されてしまっている皮脂やセラミドなどの、
手を乾燥から守ってくれている油分をハンドクリームで補うことで、乾燥を抑えることができます。
できれば手を洗うたびに塗り直すのがベスト。
その時におすすめなのがハンドクリームの前、手にも化粧水を塗って水分を補充してから
ハンドクリームを塗ること。
そうすることで、肌に水分がたっぷりとある状態をキープできます。
最近では水仕事の後に濡れたまま使えるハンドケア用品などもあるので、
色々と試して日々の負担にならないケア方法を取り入れるようにしましょう。
食器用の洗剤や洗濯用の洗剤は強力な合成界面活性剤が使われることが多く
油分の分解能力が高いものが多いので、必ずゴム手袋を使用して行うようにしてください。
使用したゴム手袋はきちんと乾かし、雑菌が繁殖しないように気をつけましょう。
雑菌が繁殖したままの手袋を使うと、手荒れの原因になりかねません。
また、ワセリンは手荒れの強い味方です。
ワセリンを水仕事の前に塗ることで
水や洗剤の刺激から手を守るバリアの役割を果たしてくれます。
手が荒れやすい方は、ワセリンをパール1個分ほど手にすり込んでから水仕事をするようにすると
手荒れが起きにくくなりますので試してみてください。
2)乾燥をすすめる紫外線をしっかりブロック
乾燥に関係なさそうで意外と盲点なのが、紫外線対策です。
紫外線は肌細胞を刺激し、ダメージを与えることで肌の乾燥を招きます。
日焼け止めをしっかり手の先まで塗ったり、特に紫外線の強い5〜8月はアームカバーをするなど、
紫外線をブロックする工夫をしましょう。
ハンドクリームと同じく、日焼け止めも手を洗うたびに塗り直せるとベスト。
日焼け止めハンドクリームの中にはUVカット効果があるものもあるので、
外出時にはUVカット効果のあるハンドクリーム、
家では保湿メインのハンドクリームなど、上手に使い分けられるといいですね。
3)冷えは乾燥の大敵。マッサージでポカポカなめらか肌に。
人間の皮膚は摂取したアミノ酸などのタンパク質やビタミン、ミネラルが行き届くことで、
新しく健康な細胞が生まれ、肌のなめらかさとうるおいを保っています。
摂取した栄養素は血液に運ばれて体内を巡りますが、
体の末端である手足は血流が悪く冷えがちで、血流が滞ると必要な栄養素も届きません。
手が乾燥しやすいのは、こういった理由もあるのです。
女性に多い末端冷え性は特に気をつけましょう。
手を温めるにはまず手首を冷やさないことです。
袖が手首まで隠れるような洋服やアームウォーマーを使って、
手首を物理的に冷やさないようにしましょう。
手が冷えてしまった時には、手を動かしたりマッサージをしたりするといいですね。
簡単にできるのは、ぐーぱー運動とツボ押しです。
ぐーぱー運動はその名の通り、手をぐーぱーぐーぱーと握って広げてを繰り返すだけ。
手を握る時には、親指を中に入れるようにしてしっかり握り、
広げる時には手のひらが伸びて気持ちいいと感じるまでしっかりと伸ばすことで
手全体の血流が促進され、ポカポカしてきます。
その他、指間穴(しかんけつ)という手のツボが、指の付け根、指の間くらいの場所にあります。
ここを親指と中指でゆっくりと押していくと、血流が良くなり手が温まってきます。
手が十分に温まると血流に乗って必要な栄養素も届き、
健康な肌細胞が水分をキープしてくれるようになりますよ。
まとめ
手の乾燥の大きな原因は、洗いすぎることで手を乾燥から守ってくれる
うるおいのベールがなくなってしまうことです。
手を洗わないというのは、衛生面から見ても現実的ではないので、
ハンドクリームや日焼け止めなどのケア用品をこまめに使ったり、
手を冷やさないなどの体の中からできるケアで、手の乾燥を防ぎましょう。