女性ホルモンの乱れによって、肌トラブルを抱える人が増えています。生理や妊娠、出産など、女性ホルモンはあらゆる周期で私たち女性に影響を及ぼしています。健康状態はもちろん、精神面や美容の面でもホルモンバランスは大切です。
では、そのホルモンバランスは、どんな時に乱れてしまうのでしょうか?女性ホルモンのバランスと肌トラブルの関係、その対策方法を解説いたします。
ストレスに対抗して分泌されるホルモン
ホルモンバランスを知るためには、ホルモンとストレスの関係を理解する必要があります。なぜなら人間はストレスを感じると、自律神経やホルモンのバランスでストレスを軽減しようとするからです。まずは体がホルモンを分泌する仕組みと、その影響をご説明します。
人間の脳はストレスを感知すると、ストレスを軽減するためのホルモンを分泌するよう、体に命令します。命令を受けた体は、腎臓の上にある副腎から、コチゾールやアンドロゲンなどのホルモンを分泌します。これらのホルモンはストレスを軽減する作用があるのですが、過剰に分泌されると肌トラブルを引き起こしてしまいます。
コチゾールによる肌トラブル
女性にとって、加齢とともに気になるのがお肌のハリです。ストレスを軽減させるホルモンであるコチゾールは、お肌のハリに必要なコラーゲンの生成を低下させる働きがあります。そのため過度のストレスによってコチゾール分泌が過剰になると、ハリのなくなったお肌はシミやタルミが目立つようになり、見た目も老けた印象になってしまいます。
アンドロゲンによる肌トラブル
肌トラブルの代表とも言えるのがニキビです。女性に限らずニキビで悩む方は多いと思いますが、アンドロゲンはニキビを悪化させることが分かっています。
アンドロゲンには皮脂の分泌を促す作用があり、増えすぎた皮脂は角栓となって毛穴を詰まらせてしまいます。ニキビが悪化してなかなか治らない方は、ストレスでアンドロゲンが過剰分泌されているのかもしれません。しかもアンドロゲンは、男性ホルモンではありながら女性でも副腎脂質から分泌される、厄介なホルモンです。
女性ホルモンってどんな働きをしているの?
ストレスによって過度に分泌されるホルモンがあることは分かりましたが、私たち女性が美しさを保つために有用なホルモンはあるのでしょうか?私たちに欠かせない女性ホルモンの働きや、女性ホルモンが持つ美容効果、生理など女性特有の生活周期に関しても気になることろです。女性ホルモンとは一体どんな成分で、どんな働きをしているのでしょうか?知っているようで知らない、女性ホルモンの役割を調べてみましょう!
生活周期に欠かせない女性ホルモン
定期的な周期でやってくる生理には女性ホルモンが強く関わっていて、脳から刺激を受けた卵巣が女性ホルモンを分泌させています。女性ホルモンには生理が終わってから排卵までの周期で増加するエストロゲンと、排卵から生理が始まるまでの周期で増加するプロゲステロンという2つの種類があります。エストロゲンとプロゲステロンは、その量が増減する周期によって生理を引き起こしているのです。
エストロゲンと肌トラブルの関係
エストロゲンは女性ホルモンの代表格であり、一般的にも美容効果が高いホルモンだと言われています。では、エストロゲンにはどんな美容効果があるのでしょうか?
エストロゲンには女性の美しさに欠かせない、お肌のコンディションを整える効果があります。女性ホルモンの代表格であるエストロゲンは、保湿成分であるコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進する効果があります。そのため、エストロゲンが多く分泌される周期では、肌にハリやツヤが生まれ、肌トラブルは少ない傾向にあるようです。
プロゲステロンと肌トラブルの関係
女性ホルモンの代表格であるエストロゲンに対し、プロゲステロンは男性ホルモンと似た働きがあります。その働きとは、皮脂の分泌を活発にしてしまうことです。そのためプロゲステロンが多くなる周期では、ニキビが出やすくなる人も多いようです。また、この周期の時期は肌のバリア機能も低下しているため、ニキビ以外の肌トラブルも起こしやすくなるようです。
肌トラブル解消には何をするべき?
肌トラブルは、ホルモンバランスと深い関係があります。ホルモンバランスは生理など周期的なものもありますが、ストレスによる影響も大きく受けています。そのため肌トラブルを解消するには、ストレスをうまく軽減することも大切です。肌トラブルと上手く付き合うためには、どんなことを心掛ければ良いでしょうか?
精神的なストレスを溜めない
分かっていても簡単にはできない、それが精神的なストレスの軽減です。人間関係や置かれている境遇への不満など、精神的なストレスは誰しも抱えているものです。しかし完全に取り除くことができないストレスでも、ホルモンバランスを崩すほど溜め込んではいけません。たまには息抜きができるよう、自分を甘やかす時間も必要ではないでしょうか。
外部的なストレスを避ける
毎日の生活の中には、外部的なストレスも結構多いものです。紫外線にお肌をさらしたり、メイクをしたまま眠ってしまったり。お肌はそんなうっかりストレスでもダメージを受けてしまいます。きれいなお肌を保つためには、紫外線対策やしっかりメイクオフなど、外的ストレスにも注意してください。
規則正しい生活を送る
睡眠不足や偏った食事は、肌トラブルに直結するストレスです。生理の周期などが肌トラブルに影響することはお話ししましたが、体にも正しい周期が必要です。充分な睡眠とバランスの取れた食事は、美肌の基本です。規則正しい生活で、肌トラブルから解放されましょう!
肌トラブルだけじゃない?女性ホルモンの影響
生理などの周期により増減する女性ホルモンですが、肌トラブルだけでなく、体にもさまざまな影響引き起こすことが分かっています。生理周期の乱れや女性ホルモンの分泌異常など、お肌以外のトラブルにも注意が必要です!
ストレスと女性ホルモンの関係
ストレスは万病のもとだと言われますが、過度のストレスは生理の周期を狂わせることもあります。これは女性ホルモンの分泌が乱れている状態で、自律神経にも乱れを生じさせます。その結果、頭痛やめまいなどの体調不良を引き起こすことがあります。生理中に精神が不安定になり、訳もなくイライラすることがありますが、これもストレスによってバランスを崩した女性ホルモンの影響だと考えられます。これらの体調不良は女性ホルモンの減少が進む更年期の女性に強く表れることから、更年期障害の代表的な症状とされています。
老化と女性ホルモン
女性ホルモンが減少する更年期になると、シワやたるみと言った老化の症状が出始めます。これは、女性ホルモンであるエストロゲンの減少によって、コラーゲンやヒアルロン酸が減ってしまうことが原因です。お肌は保水力を失い、バリア機能も低下してしまいます。
さらに女性ホルモンの減少は、お肌以外にもトラブルを引き起こします。エストロゲンが減少してしまうと、髪の毛にも影響が出てきます。コシがなくなったり、抜け毛が増えてしまったり、老化現象が急速に進み始めるのです。
女性ホルモン分泌のピーク
女性ホルモンの分泌のピークは20代から30代だと言われています。その頃の女性は妊娠、出産、授乳など、女性ホルモンをフルに使った経験をする時期でもあります。肉体的にも精神的にも、まさにピークだと言えるでしょう。そしてその時期を過ると女性ホルモンは分泌が落ち着き、40代後半から50代にかけて急激に減少すると言われています。更年期障害などの体調不良も、女性ホルモンが減少したこの時期特有の症状です。
ちなみに男性ホルモンは思春期に多く分泌されるため、10代はニキビなどの肌トラブルが増える傾向にあります。
大切なお肌のために
毎日健康で過ごすためには、ストレスを溜めないことがとても重要です。ストレスが溜まってしまうと、心も体も健康を損なってしまうからです。体はストレスを感じると、自律神経や免疫力、ホルモンバランスを使って防衛しようとします。しかしそのストレスが過度に溜まると、防衛しきれずに体調を崩してしまうのです。
私たちは毎日、ありとあらゆるストレスと戦っています。満員電車に揺られて出勤するストレスや時間に追われるストレス、対人関係のストレスを抱えている人も多いことでしょう。
そんな時は、自分をいたわることも大切です。ストレスを減らすことは女性ホルモンの消費を抑ることになり、肌トラブルの防止にもつながります。全てのストレスを避けることは難しいですが、たまには自分を甘やかしてもいいのではないでしょうか。