ニキビは過剰に分泌された皮脂が毛穴から上手に排出されないために毛穴が詰まり、詰まってしまった毛穴の中でアクネ菌が増殖することで炎症が起きてしまった状態です。
問題点は2つ。
「皮脂が過剰に分泌されてしまうこと」と、「分泌された皮脂が毛穴から排出できないこと」で、そのどちらにも保湿が重要なポイントとして関わってきます。
まずは皮脂の過剰分泌について。
皮脂の過剰分泌には3つのパターンがあります。
1.年齢
皮脂量の分泌量には年齢が大きく関わってきます。
一般的に、皮脂の分泌量は男女ともに乳児に多く、幼児期には減少し思春期には再びピークまで増加します。
ピークを越えると女性の場合は20代から緩やかに減少し、閉経後に一気に低下します。
男性の場合は30〜40代にかけて緩やかに減少することが多いようです。
思春期の時に増加するニキビは皮脂をとにかく洗い流すことで治そうとしてしまいがちですが、過度な洗顔や刺激の強いスクラブなどが入った洗顔料は肌のバリア機能を壊してしまい、ニキビの悪化につながります。
また、洗顔後のしっかりとした保湿はニキビを治そうとする肌の機能を活性化するので、必ず行いましょう。
2.体質
皮脂の分泌量が多い脂性肌の場合は、ホルモンの分泌が関係していることがあります。
ストレスで男性ホルモンの分泌が多かったり、皮脂分泌を活発にする女性ホルモンが生理周期によって多く分泌されたりしてしまうのです。
食生活にも関係があります。
油分や糖分の多い食事をとっていると脂性肌になってしまうことがあるので、皮脂分泌が気になる方は油分・糖分を少し控えめにした食生活を心がけるのがいいですね。
また、皮脂量が多くても肌の水分量は足りていないという場合もあります。
肌の水分量が足りていないと皮脂量が増えてしまうことがありますので、洗顔は適度に、洗顔後の保湿はオイルフリーの化粧水と保湿ジェルでしっかりと水分補給を行いましょう。
3.乾燥(インナードライ)
厄介ですが多いパターンが、乾燥しているのに皮脂の分泌量が多いパターンです。
皮脂の分泌量が多いのに乾燥しているとはどういうことなの?と思う方も多いですが、肌は乾燥してしまうと、外部からの刺激を遮断したりターンオーバーを促したりといった肌本来の機能が果たせなくなります。
そうならないように、肌は乾燥を感じると本来は必要ないほどの皮脂を過剰分泌してしまうのです。
顔が皮脂でテカる人の多くが「自分は脂性肌だから皮脂は洗い流して、保湿はしなくてもいい」という勘違いから保湿を控えた脱脂ケアを続けてしまった結果、肌内部に水分が足りず皮脂の分泌が活発になってしまいます。
そんな悪循環が、特に20〜30代の女性の多くに起こっているのです。
インナードライ肌にも、高保湿の成分が含まれたケア用品でのしっかりとした保湿ケアが有効です。
皮脂が分泌されるのは、自然で、必要なことです。
仮に皮脂が過剰に分泌されてしまっても、ある程度の量なら毛穴からの排出がスムーズに行われるので毛穴の詰まりが起きなければニキビになることはありません。
ではなぜ排出がスムーズに行かずに毛穴が詰まってしまうのでしょうか?
ここにも乾燥と保湿が大きく関わってきます。
乾燥して水分量の減った角質は柔軟性が失われ、分厚くかたくなり、皮脂の出口となる毛穴が詰まりやすい状態になります。
そのせいで少し皮脂が分泌されただけでも、毛穴がすぐに詰まってしまうのです。
毛穴が詰まったとしても本来ならばターンオーバーが正常に働くことで毛穴のつまりを解消することができますが、乾燥して水分が枯渇している肌ではそれも叶いません。
過剰な皮脂の分泌を抑えるためにも、分泌された皮脂をスムーズに排出するためにも、肌に十分な水分量を保持させるための保湿ケアは不可欠なのです。
ニキビ肌に必要な保湿の種類
ニキビ肌の人はどういったケア用品で保湿をするのがいいのでしょうか?
化粧品に配合されている保湿成分には、さまざまな種類があります。
例えばワセリンやグリセリンといった油脂も保湿剤の一種です。
最近では「コラーゲン配合」「尿素配合(にょうそはいごう)」といったフレーズもよく目にします。
十数年前までは、保湿といえば油分の含まれた乳液やクリームを指しました。
しかし本来、肌に必要な油分は肌自身から分泌された皮脂が補うものです。
加齢などで皮脂の分泌量が低下してしまった人以外で、特にニキビでお悩みの肌には余分な油分を足す必要がありません。
ニキビ肌の人は必要な分の皮脂がきちんと分泌される、すばらしい肌です。
そんな肌に保湿のためと、クリームや乳液を塗ってしまってはベタベタになって老廃物の排出が滞り、毛穴が詰まって大変なことになってしまいます。
現在は技術が進み油分を使わなくてもいい保湿、いわゆる「オイルフリー」かつ、しっかりと水分を保持してくれることでお肌の機能の正常化を促してくれる化粧品がたくさん販売されています。
ニキビ肌にとっても大事な保湿は、余計な油分を含まないものが最適です。
そして、多くの保湿剤の中でも、最もおすすめなのはヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸の美肌効果
天然のヒアルロン酸は、臍帯(さいたい)や鶏冠(けいかん)に含まれています。
臍帯とはいわゆるへその緒(お)のことです。
母体とおなかの赤ちゃんをつなぐ帯、文字通り赤ちゃんの生命線です。
赤ちゃんに必要な栄養分や水分を補給し、老廃物を運び去る役目を担っています。
ヒアルロン酸はこのへその緒にたっぷり含まれています。
日本では昔から「へその緒」を保存する習慣があります。
あれはただ赤ちゃん誕生の記念にとっておいたのではありません。
薬のない昔は伝染病や瀕死の病に侵されているなど、いざという時に煎じて服用するための大事な大事な民間薬だったのです。
ヒアルロン酸には様々な働きがあります。
肌の保湿力を高める
- 紫外線によるダメージや加齢によって低下した、お肌の保水力を取り戻す。
- コラーゲンやエラスチンと結合して、お肌のバリや柔軟性を保つ。
さまざまな刺激からお肌を守る
- 皮膚の水分を増加させることで、紫外線、タバコの煙、肌に害となる空中の窒素酸化物などからお肌を守る。
細胞を活性化させる
- お肌の免疫力の低下を予防し、新陳代謝を盛んにし、細胞を活性化する。
ヒアルロン酸と同じく、臍帯に含まれる血液(臍帯血)は、白血病などの治療に非常に有効とされています。
これは、免疫力を高める効果が認められている証拠です。
プラセンタを含んでいる胎盤、ヒアルロン酸を含んでいる臍帯、どちらも生命を育む力から生まれるもの。生命とは神秘的ですね。
天然ヒアルロン酸にこだわる
天然のヒアルロン酸とは別に、バイオヒアルロン酸という成分もがあります。
バイオヒアルロン酸も現在では、化粧品に広く取り入れられるようになってきました。
バイオヒアルロン酸は主に
- 乳酸菌
- ストレプトコッカス
- ゾウリムシ・アメーバー・ミドリムシなどの単細胞生物
などから生成されています。
どれも化粧品の原料として生成された段階で人体には無害とされていますが、比較的新しいしい成分のため長期的な安全性の事や、肌への馴染み方を考えると天然のヒアルロン酸が好ましいでしょう。
また、バイオのものは天然のものと比べて有効成分の量が少なく、保水力が劣ります。
保水量を上げるためにバイオヒアルロン酸を高配合してしまうと、どろどろとしていて浸透性が悪く皮膚がつっぱるといった副作用を起こす場合があります。
一般的にバイオヒアルロン酸が配合されているのは、手に入りやすく安価なためです。
天然ヒアルロン酸はプラセンタエキスのように稀少で、高価です。
プラセンタエキス同様、必ずしも高価ならいいというわけではありませんが、高価なものにはそれなりの理由があります。
ヒアルロン酸配合のものを購入する際は天然のものを配合しているのか、そしてヒアルロン酸の濃度にも注意してください。
ヒアルロン酸はもともと皮膚内部の真皮に存在する成分で、お肌の保湿の役目を担っています。
ところが、加齢とともにこの天然の保湿剤はどんどん失われてしまうのです。
年齢とともにヒアルロン酸は減少し、真皮、表皮の水分量が低下することでハリが失われ、シワ、タルミとなります。
ヒアルロン酸が減少すると、お肌の老化が進むのです。
このヒアルロン酸は、1グラムで6リットルもの水分を保持する力を持つほどの保湿力を持っています。
それだけではなく、一度蓄えた水分を離しにくいという利点もあります。
このパワーを化粧品という形で外から与えてあげることで、肌はしっかりと保湿され、元気を取り戻すことができるのです。
まとめ
ニキビ肌の人にこそ使って欲しい保湿成分、ヒアルロン酸。
ヒアルロン酸には高い保湿成分があるほか、ニキビを早く治すために細胞を活性化したり活性酸素を除去することでニキビができにくくするなど、嬉しい効果がたくさんあります。
ニキビ肌には余計な油分を塗る必要はないので、オイルフリーでなおかつヒアルロン酸が高配合されているケア用品を選ぶのがいいですね。
オイルフリーの化粧品でしっかりと保湿して、ニキビ肌を柔らかく、すべすべにしていきましょう。