紫外線対策のクリームやスプレーなどの商品でよく目にする「SPF」と「PA」。SPFは「SPF20」、PAは「PA++」など、それぞれ数値や「+(プラス)」と一緒に記載されています。
このSPFの数値か高いほど、PAのプラスが多いほど、どんなに強い紫外線でも防げるから安心、というわけではありません。
SPFとPAとは何なのかを知ることが、正しい紫外線対策への第一歩。自分に合う日焼け止めを選ぶ参考にしてください。
SPFとは
「SPF」とは「Sun Protection Factor(サンプロテクションファクター)」の略で、主にUVBの影響を防ぐ目安を数値化したものになります。
UVBとは別名「レジャー紫外線」と言われています。強い日差しで急激に肌にダメージを与え、肌表面を赤く炎症させる紫外線です。
主にシミやそばかすの原因となり、ダメージが酷いと肌が水ぶくれになる場合もあります。
このUVBを浴びてから肌が赤くなって日焼けをするまでの時間を延長させる効果を、SPF値で表しています。
肌が赤くなって日焼け状態になる経過時間は個人差がありますが、大体15分〜20分くらいと言われています。SPF値はその倍の分、日焼けする時間を遅らせるという意味になります。
例えば・・・・・
SPF20の日焼け止めの場合
- 15分で日焼けする人は、15分×20=300分(5時間)
- 20分で日焼けする人は、20分×20=400分(およそ6時間強)
SPF50の日焼け止めの場合
- 15分で日焼けする人は、15分×50=750分(12時間半)
- 20分で日焼けする人は、20分×50=1000分(およそ16時間強)
上記のように、SPF値は「日焼けする時間を何倍延ばせるか」の指数を表しています。
また、肌質などで日焼けする時間に個人差があるように、紫外線(UVB)を防ぐ効果にも個人差があります。
PAとは
「PA」とは「Protection grade of UVA(プロテクショングレイドオブUVA)」の略で、主にUVAの影響を防ぐ目安を表しています。
UVAとは、太陽から降り注ぐ紫外線のおよそ9割を占めており、UVBほど急激で強い刺激を肌に与えることはありません。
しかし、曇りの日でも太陽光が弱くなる冬の時季でも常に肌の深層まで届く紫外線で、そのダメージは蓄積されて乾燥や光老化(シワ・たるみ)の原因となります。
UVAは光老化を防ぐためにも、1年を通して予防対策が必要な紫外線です。
「PA」表記の横にある「+」は、UVAを防ぐ効果の度合いを表しています。「+」の数が多ければ多いほど、防御する効果が高くなります。
- PA+ ・・・ 防御効果あり(日常生活で外出などする場合)
- PA++ ・・・ 防御効果がかなりある(外で軽い運動をする場合)
- PA+++ ・・・ 防御効果が非常にある(マリンスポーツなどする場合)
- PA++++ ・・・ 防御効果が極めて高い
日焼け止め効果的に使うには
SPF・PAが高い日焼け止めの落とし穴
日焼け止めのSPF値やPAの+の数が多ければ多いほど、紫外線を防ぐ効果は高まりますが、その分日焼け止めには強い成分が配合されています。
強い成分が配合されているほど、肌にもより負担がかかります。
また、日焼け止めの中には汗で落ちにくいもの(ウォータープルーフ)もあり、その分洗い落としにくい場合があります。
日焼け止めの洗い残しは、肌が乾燥したり肌荒れや炎症が生じたりする場合があります。日焼け止めによっては専用のクレンジング剤が用意されている場合もあるので、それで洗うようにしましょう。
SPF値やPAが高い日焼け止めを通年常に使用するのではなく、季節や環境、外出目的などによって日焼け止めを使い分けることも肌にとっては大切です。
日焼け止めは重ね塗り・厚塗りは有効?
普段使用している日焼け止めの効果をより高めたい時、一度の塗布で何度も重ねたり量を多めに乗せて厚く塗ったりしていませんか?
日焼け止めはSPF値とPAに上限があり、どんなに塗っても示された値以上の効果は出ません。
例えば、SPFが20の日焼け止めとSPFが30の日焼け止めを同時に重ね塗りしても、SPFが50の日焼け止めと同じ効果は得られません。この場合、SPFが30の日焼け止めの効果しか得られません。
PAも同じように、いくら厚く塗っても+の数が増えて効果が大きくなることはありません。PA+の日焼け止めとPA+++の日焼け止めを同時に塗っても、PA+++の効果しか得られません。
種類や効果が異なる日焼け止めを複数塗っても相乗効果はなく、SPF値やPAが最大のもの以上の防御は見込めませんので、使用にはご注意ください。
日焼け止めを効果を持続させるためには
日焼け止めの効果は一度塗れば。その日一日中効果が持続するというわけではありません。
お使いの日焼け止めのSPF値やPA、個人差によって効果の持続は様々ですが、日焼け止めを塗った後の状況によりその効果は変化します。
汗をかいたりプールや海、雨などで濡れたり、摩擦で拭ったりなどで落ちてしまう場合があります。
日焼け止めの効果を持続させるためには、こまめに塗り直すことが一番有効です。
SPF値やPAが低い日焼け止めをメイク直しなど数時間置きに塗り直すと、肌にかかる負担も少なく、日焼け止めの効果をより引き出すことができます。
最近では、スプレータイプや飲むタイプの日焼け止めもあります。スプレーはムラができてしまう可能性があるので、スプレーをした後に塗布部分を手で軽くおさえて伸ばすようにしましょう。
日焼け止めで美肌を保つには
日焼け止めの強さを示すSPFとPAは、値が多いほど効果が高くなりますが、その分肌に負担がかかったり洗い落としにくくなり、乾燥して肌荒れの原因となる場合があります。
普段の生活ではSPFやPAの値が低い日焼け止めをムラなく塗り、日が出ている間は塗り直しを行うことが、肌にあまり負担をかけず日焼けを有効的に防ぐ一番の方法です。
季節や状況により、SPFとPAの値が違う日焼け止めを使い分けたり、塗り直す間隔を変えたりして、調整を行うようにしましょう。
また、日焼け止めを落とす場合は洗い残しがないようしっかり落とし、その後はたっぷり保湿させて肌を整えることを心がけてください。